「死ぬのか」
ぽつり、と高杉が呟くように言う。しかしその言葉に反応はなかった。
自らの手を握る手の力が弱まり、ついに落ちる。
「おい」
やはり、返事はない。
べたりと、血の付いた手を見る。
目の前で誰かが死ぬ。そんなことはとうに見飽きた。自ら幾つも手を下した。
だから今目の前で死のうとしてる人間も、どうでも良いはずだった。
「」
名前を呼ぶ。いつもならなんだよ、とやや不機嫌な声が返ってくるはずだったが、返ってくると思っていたが、何も返ってこない。
血にぬれた男。
黒い着物は、赤い血でじっとりと濡れている。
「……」
ギリ。唇を噛みしめる音か、拳をにじり閉める音かが小さく響き、消えていった。
up07/03/03 加筆修正 08/04/22